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まあじゃんインチキものがたり
麻雀インチキ物語
海野 十三
「新青年」1930(昭和5)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,412 字 · 9 页
そのときにも、自分が引懸ったと同じ程度に相手の不正を攻撃するかというのに、どうも左様ではなくむしろインチキにかかった其の友人の間抜けさ加減を嗤いたくなり、インチキを用いた悪人に、一寸した尊敬にも似た感情を生ずるのである、そりゃ無論、一時的の話ではあるけれど……。そうしてみると、麻雀のインチキも、一寸ユーモアがあるような気もする。
僕は麻雀のインチキについて、大分研究した。それはインチキを自ら用いて、大会一等賞の洋銀カップをせしめようという目的では勿論ない。度々インチキにひっかかったことを後から知って口惜しさにたえず、もうこれからは引懸るものかと、研究してみたのである。現在ではまずインチキに引懸けられていない心算だが、なにしろこれは自覚症とは反対のものなのだから絶対に引懸けられていないと強く言い放つことはできない。
さてこれから、インチキ曝露だか、インチキ伝授だかを始めるわけだが、僕の相手になるインチキストは、わりあいにタチのよい人間、つまり生れながらの悪人ではないせいかその用いるところも、初等インチキに属するものばかりのようである。高等インチキの方は僕に探偵力がないせいでもあろう、その方の講義は、他に適当なる麻雀闘士があろうと思う。