轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
マージャンさつじんじけん
麻雀殺人事件
海野 十三
「新青年」博文館、1931(昭和6)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,337 字 · 33 页
彼は自殺をするような性格でもなかったし、そのポケットから遺書らしいものはすこしも発見されなかったし、彼の銀行預金帳には多額の預金があったし、それに二通の手紙があって、一通は、みどりの弟たちからのもので明日の水泳大会を見るために兄さんがおっしゃるとおり十時半神宮外苑の入口へ行っていると書いてあり、今一つはみどりの父からの手紙で、例によって子供たちの学資補助を仰いで恐縮であるという礼状が金五十円也という仮領収証と共に入っていた。こんなにコンディションのよい彼が自殺するとは考えられなかった。尚そのことは、彼の机を調べ、彼の屍体を解剖した上で、更にハッキリ確められる筈であった。
それでは、松山虎夫は他人から殺害せられたものと仮りに定めるとすると、一体誰が彼に毒物を盛ったのであるか、前後の事情を考えると、第一に疑いのかかるのは、その麻雀仲間の三人である。しかし三人について、これぞと思う証拠は係官の手に入ってはいなかった。
雁金検事が、こう云った。
「おかしいと云えば、川丘みどりが、死んだ松山と前後して、気持がわるくなった点だね。それに松山のポケットから出て来た手紙によると、松山は川丘みどりに対して、大分優越権をもっているらしいが、この二つの事実は反対の意味を持っているように思うんだが……」