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まるまるじゅう
○○獣
海野 十三
「ラヂオ子供のテキスト」日本放送出版協会、1937(昭和12)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,139 字 · 43 页
怪しき盗聴者
敬二少年は不思議でならなかった。なぜあのことを書かないのだろうか。
「オイ給仕、この騒ぎのなかで、新聞なんか読んでいちゃいけないじゃないか。そんな遑があったら、壊れた壁を一つでも取りのけるがいい」
喧し屋の支配人足立は、敬二少年を見つけて、名物の雷を一発おとした。
「ははッ――」と、敬二は鼠のように逃げだしてビルの崩れた土塊の上によじあがった。
「敬坊、てへッ、やられたじゃねえか。ふふふふッ」
「なんだ、ドン助か。こんなところにいたのか」
「ふふふふッ。さっきから、ここで働いているんだ。もう大分掘ったよ」そういったのは、同じ東京ビルのコックをしていたドン助こと永田純助という敬二の仲よしだった。彼はおそろしく身体の大きなデブちゃんであった。
「ずいぶんよく働くネ。いつものドン助みたいじゃないや」
「ふン、これは内緒だがナ、この真下に、おれの作っておいた別製の林檎パイがあるんだ。腹が減ったから、そいつを掘り出して喰べようというわけだ。お前も手伝ってくれれば、一切れ呉れてやるよ」
怪しき盗聴者
「泥まみれのパイなんか、僕は好きじゃないんだよ。ねえドン助さん。それよか、もっと重大なことがあるんだ」