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まるまるじゅう
○○獣
海野 十三
「ラヂオ子供のテキスト」日本放送出版協会、1937(昭和12)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,139 字 · 43 页
カメラの手柄
もし自分の身体が崩壊しはじめたらどうしよう。
カリカリカリカリ。
突然また例の怪音がおこって、人々の耳をうった。
カメラの手柄
敬二少年が、わずか千分の一秒という短かい露出でもって、○○獣の動いていると思われるところをうまく写真にとったことは、前にいった。少年は、どんな写真が撮れたかを一刻も早く見たくてたまらなかった。それで目下、東京ホテルの裏口を暴れまわっている○○獣のことは、折から現場に着き例の強い近眼鏡をひからせながら熱心に観察している蟹寺博士にまかせてしまって、敬二はカメラをもったまま、友だちの三ちゃんというのがやっている写真機屋の店をさして駈けだした。
「おう、三ちゃん、たいへんだたいへんだ」
「な、なんだ。おや敬ちゃんじゃないか。顔いろをかえてどうしたんだ」三ちゃんは現像室からとびだしてきて、敬二少年を呆れ顔で見やった。
「うん、全くたいへんなんだよ。○○獣の写真をとってきたんだ。すまないが、すぐ現像してくれないか」
「えっ、なんだって、あの○○獣の写真をとってきたんだって。まさかね。あははは」と、三ちゃんは本気にしない。それもそうであろう。誰にも見えない○○獣が写真にうつるわけがないからである。