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まるまるじゅう
○○獣
海野 十三
「ラヂオ子供のテキスト」日本放送出版協会、1937(昭和12)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,139 字 · 43 页
たとえば非常に速く廻っている車が見えないのと同じわけであった。敬二少年は、○○獣がこれから廻ろうとしていたその最初から見ていたのであった。
「まったく不思議な○○獣だ」と、敬二は自分で撮った写真をじっと見つめながら、長大息をした。
○○獣というのは、二つの大きな球塊がぐるぐる廻っているものだということは分ったけれど、さてその大きな球塊は一体どんなものから出来ているのか、また中には何が入っているのかということについては、まだ何にも知れていなかった。そこに実に大きい疑問と驚異とがあるわけであったが、敬二には何にも分っていない。いや敬二ばかりが分らないのではない。おそらく世間の誰にもこの不思議な○○獣の正体は見当がつかないであろう。
敬二が○○獣の写真をもって、再び東京ホテルの裏口に帰ってきたときには、そこには物見高い群衆が十倍にも殖えていた。その間を押しわけて前に出てみると、ホテルの建物はひどく傾き、今にも転覆しそうに見えていた。その前に、蟹寺博士が、まるで生き残りの勇士のように只一人、凛然とつっ立っていた。警官隊や消防隊は、はるかに離れて、これを遠巻きにしていた。