轻松读懂日语经典作品
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ああぎょくはいにはなうけて
ああ玉杯に花うけて
佐藤 紅緑
「少年倶楽部」1927(昭和2)年5月号~1928(昭和3)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 126,617 字 · 250 页
お美代は毎日薬を飲むたびにもったいないといった。
ある日千三は帰って母にこういった。
「お母さん、手塚の家の天井は格子になって一つ一つに絵を貼ってあります、絹にかいたきれいな絵!」
「あれを見たかえ」と母は病いにおとろえた目を向けてさびしくいった。「あれは応接室だったんです、お父さんが支那風が好きだったから」
「そう?」
「あの隣の室のもう一つ隣の室は茶室風でおまえがそこで生まれたのです、萩の天井です、床の間には……」
母の声はハタとやんだ、彼女は目をうっとりさせて昔その夫が世にありしときの全盛な生活を回想したのであった。
「あのときには女中が五人、書生が三人……」
睫毛を伝うて玉の露がほろりとこぼれる。
「お母さん! つまらないことをいうのはよしてください、ぼくはいまにあれ以上の家を建ててあげます」
「そうそう、そうだね」
母はさびしくわらった、千三はたまらなく苦しくなった、いままで胸の底におさえつけておいた憂欝がむらむらと雲のごとくわいた。かれは薬をもらいに医者の家へゆく、支那風の天井の下に小さく座っていると例の憂欝がひしひしとせまってくる。
「ああここがおれの生まれたところなんだ、おれが生まれたときに手塚の親父がぺこぺこ頭をさげて見舞いにきたんだ、それがいまそいつに占領されてあべこべにおれの方が頭をさげて薬をもらい