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ああぎょくはいにはなうけて

ああ玉杯に花うけて

佐藤 紅緑

「少年倶楽部」1927(昭和2)年5月号~1928(昭和3)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 126,617 字 · 250 页

青空文庫

、約十種ばかりの性質によって握り方をかえなければならぬ。チビ公は無意識ながらもそれを感じた。

一生懸命に汗を流してけずり上げた先生のバットはあまり感心したものでなかった。それはあらけずりのいぼだらけで途中にふしがあるものであった。

「なんだこれは」

「すりこぎのようだ」

「犬殺しの棒だ」

「いやだな、おまえが使えよ」

「おれもいやだ」

少年共はてんでにしりごみをした。さりとてこれを使わねば先生の機嫌が悪い。一同は途方に暮れた。

「ぼくのにする」とチビ公はいった。「このバットには先生がぼくらを愛する慈愛の魂がこもってる、ぼくはかならずこれでホームランを打ってみせるよ、ぼくが打つんじゃない先生が打つんだ」

九

浦和中学と黙々塾が野球の試合をやるといううわさが町内に伝わったとき人々は冷笑した。

「勝負になりやしないよ」

実際それは至当な評である、浦和中学は師範学校と戦っていつも優勝し、その実力は埼玉県を圧倒しているのだ、昨日今日ようやく野球を始めた黙々塾などはとても敵し得べきはずがない。それに浦中の捕手は沈毅をもって名ある小原である。投手の柳は新米だがその変化に富める球と頭脳の明敏ははやくも専門家に嘱目されている、そのうえに手塚のショートも実際うまいものであった、かれはスタートが機敏で、跳躍して片手で高い球