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ああぎょくはいにはなうけて
ああ玉杯に花うけて
佐藤 紅緑
「少年倶楽部」1927(昭和2)年5月号~1928(昭和3)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 126,617 字 · 250 页
「しめたッ」
起きあがった生蕃は背後からライオンののどをしめた。ライオンはぐったりとまいってしまった。
「けがしなかったか、柳君」と生蕃はまっさおな顔をしていった。
「なんでもないよ」
光一は手からしたたる血汐をハンケチでふいていた。
「早いことをするな」
「柳にあんな勇気があったのか」
同級生はあっけに取られてささやきあった。双方ともふたたび戦う気もなくなった、犬はいつのまにか戦いをやめて逃げてしまった。
五分間の後、木俣は回気した。生蕃と光一は水を飲ませて介抱した。
「今日はやられた」と木俣はいった。
「明日もやられるよ」と生蕃がいった。
「いずれね」
「堂々とこいよ」
木俣は去った、三年生が去った、二年生ははじめてときの声をあげた。
「きみのおかげだよ」と生蕃はしみじみと光一にいった。「きみは強いんだね」
「いやぼくは弱いよ」
「そうじゃない、あの場合きみがライオンのまたぐらへ飛びこんでくれなかったら、ぼくはあの小刀で一つきにされるところだったんだ」と生蕃がいった。
「もしぼくがつかれて死んだらきみはどうするつもりだ」と光一は友の顔をのぞくようにしていった。
「君が死んだらか」