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ああぎょくはいにはなうけて

ああ玉杯に花うけて

佐藤 紅緑

「少年倶楽部」1927(昭和2)年5月号~1928(昭和3)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 126,617 字 · 250 页

青空文庫

と伯父の覚平がいった。覚平は元来金持ちと役人はきらいであった、かれは朝から晩まで働いて、ただ楽しむところは晩酌の一合であった。だがかれは一合だけですまなかった。二合になり三合になり、相手があると一升の酒を飲む。それだけでやまずにおりおり外へでて喧嘩をする、かれは酔うとかならず喧嘩をするのであった。そのくせ飲まないときにはほとんど別人のごとく温和でやさしくてにこにこしている。

「じゃいってまいります」

「いっておいで」

チビ公はあたらしいてぬぐいをはかまのひもにぶらさげ、あたらしいげたをはいて家をでた。光一の家へゆくとすでに五、六人の友達がきていた、その中には医者の子の手塚もいた、光一の家は雑貨店であるが光一の書斎ははなれの六畳であった。となりの六畳室のふすまをはずしてそこに座蒲団がたくさんしいてあった。先客はすでに蓄音器をかけてきいていた。

「よくきてくれたね、青木君」と光一はうれしそうにいった。

「今日はおめでとう」とチビ公はていねいにおじぎをした。あまりに礼儀正しいので友達はみなわらった。

「やあ青木君」

「やあ」

一年前の同級生のこととてかれらは昔のごとくチビ公を仲間に入れた。