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ああぎょくはいにはなうけて

ああ玉杯に花うけて

佐藤 紅緑

「少年倶楽部」1927(昭和2)年5月号~1928(昭和3)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 126,617 字 · 250 页

青空文庫

まずかまどの下に粉炭をくべ、上に鉄の板をのせる。板にはたいのような形が彫ってあるので、じいさんはそれにメリケン粉をどろりと流す、それから目やにをちょっとふいてつぎにあんを入れその上にまたメリケン粉を流す。

最初はじいさんがきたないのでだれも近よらなかったが、ひとりそれを買ったものがあったので、われもわれもと雷同した、二年生はてんでにたい焼きをほおばって、道路をうろうろした、中学校の後ろは師範学校である、由来いずれの県でも中学と師範とは仲が悪い、前者は後者をののしって官費の食客だといい、後者は前者をののしって親のすねかじりだという。

師範の生徒は中学生がたい焼きを食っているのを見て手をうってわらった。わらったのが悪いといって阪井生蕃が石の雨を降らした。逃げ去った師範生は同級生を引率してはるかに嘲笑した。

「たい焼き買って、あめ買って、のらくらするのは浦中ちゅう、ちゅうちゅうちゅう、おやちゅうちゅうちゅう」

妙な節でもってうたいだした。すると中学も応戦してうたった。

「官費じゃ食えめえ気の毒だ、あんこやるからおじぎしろ、たまには、たいでも食べてみろ」

このさわぎを聞いた例のらっぱ卒は早速校長に報告した。