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ああぎょくはいにはなうけて
ああ玉杯に花うけて
佐藤 紅緑
「少年倶楽部」1927(昭和2)年5月号~1928(昭和3)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 126,617 字 · 250 页
「校長が転任する」
このうわさは日一日と濃厚になった、生徒の二、三が他の先生達にきいた。
「そんなことはありますまい」
こう答えるのだが、そういう先生の顔にも悲しそうな色がかくしきれなかった。生徒の主なる者がよりよりひたいをあつめて協議した。
「本当だろうか」
このうたがいのとけぬ矢先に手塚はこういう報告をもたらした。
「校長が立憲党のために運動したので諭旨免官となるんだそうだ」
これは生徒にとってあまりにふしぎなことであった。
「どういうわけだ」
「校長はね、柳の家へしばしば出入りしたのを見た者があるんだよ」
と手塚がいった。「それで阪井の親父が校長排斥をやったんだ」
「それは大変な間違いだ」と光一は叫んだ。「先生がぼくの家へきたのは二度だ、それは学校で負傷させたのは校長の責任だというので校長自身でぼくの父にあやまりにきたのと、いま一つはぼくの見舞いのためだ、先生はぼくの枕元にすわってぼくの顔を見つめたままほかのことはなんにもいわない、ぼくの父とふたりで話したこともないのだ」
「そりゃ、そうだろうとも」と人々はいった。
「もしそれでも校長が悪いというなら、われわれはかくごを決めなきゃならん」