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あほうどりのなくひ
あほう鳥の鳴く日
小川 未明
「童話」1923(大正12)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,725 字 · 16 页
何事があるのだろう? と思って、若者はその人だかりのしているそばにいってみますと、汚らしい少年をみんながとりかこんでいるのであります。
「さあ、赤い鳥を呼んでみせろ。」と、一人がいいますと、また、あちらから、
「さあ、白い鳥を呼んでみせろ!」とどなりました。
汚らしいふうをした子供は黙って立っていました。
「どんな鳥でも呼んでみせるなんて、おまえは、うそをつくのだろう? なんで、そんなことがおまえにできてたまるものか!」と、人々は口々にいって冷笑いました。
すると髪の毛の伸びた、顔色の黒い、目の落ちくぼんだ子供は、じろじろとみんなの顔を見まわしました。
「私は、けっして、うそをつきません。山にいて、いろいろほかの人間のできないことを修業しました。ほんとうに、みなさんが赤い鳥が呼んでほしいならば、どうか、私に、今夜泊まるだけの金をください。私は、すぐに呼んでみせましょう。」といいました。
群衆の中には、酒に酔った男がいました。
「ああ、呼んでみせろ! もし、おまえが呼んでみせたら、いくらでも、ほしいほどの金をやるから。」といいました。
子供は、うなずいて、空を仰ぎました。