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あられささ
あられ笹
宮本 百合子
「女靴の跡」高島屋出版部、1948(昭和23)年2月発行
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,788 字 · 8 页
宗達の芸術家としての直感が、生命の爽やかさに充ちていたことが、ここにも窺われると思う。彼は、画面の隅から隅までが豊かに息づいて滞らないことをのぞんでいる。もし背中だけ向けている三人を大きく出せば、生動する画面に計らず一つらなりのめくら壁が立つ結果になって、リズムはそこで阻まれるだろう。芸術家らしさで、其処を鋭く洞察している。そして、子供が絵をかきはじめるときは、よしんばそれが「へへののもへじ」であろうとも、まず顔に目をひかれ初めるものであるという人間の素朴本然な順序に、すらりとのりうつって、こちらに顔を向けている三人の距離を、人間の顔というよすがによって踰えている。偶然によってではなくて、はっきりした考えをもって、芸術の虚構の効果をあげている。
宗達の作品もいろいろであろうが、この作品のように清明で、精気こもった動的な美しさは、心から私たちをよろこばすものの一つだと思う。人間の艷、仕事の艷というものについて、宗達は、目から精神にそそぎ込む多くのものをもっているのである。
そんな話をしていたら、友達が古い美術雑誌で、宗達の特輯をしたのを見つけて来てくれた。