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あるニュー・フェイスへのてがみ
あるニュウ・フェイスへの手紙
岸田 国士
「演劇 第一巻第一号~第七号」1951(昭和26)年6月1日~12月1日、「演劇 第二巻第一号~第二号」1952(昭和27)年1月1日~2月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,146 字 · 96 页
が、痛切な夢となって、しみじみと流れ出ています。
こうみて来ると、なるほど、わが「新劇」だけには、在来の「翻訳調」なる生硬なお談義以外、われわれの耳に快よく響き、「考えさせる前に感じさせる」ていの、すぐれた雄弁の要素は、ほとんど見当りません。やっぱり、在来の講釈、落語の「話術」の系統を生かした現代語の駆使によって、一風独特の劇的対話を案出した久保田万太郎をもって「雄弁」の継承者と見るほかはありますまい。
そして、序ながら、現代の「雄弁」を代表するかの如く、徳川夢声ひとりその道で気を吐くのを、われわれは安閑として聞き惚れてばかりいるわけにいきません。
話を「シラノ」にもどしますが、原作の文体はともかくとして、忠実でありながら、しかも大胆なあの翻訳のセリフは、なによりも、これまでの新劇にはみられなかった、一種ハイカラで骨のある「名セリフ」の見本として、はじめて三越の舞台へ登場したわけで、この「雄弁」の日本版こそは、知る人ぞ知る、「老若問答」の著者と、マラルメ研究の権威との、甚だ江戸前式な、雅俗両刀の快弁毒舌に負うところ大なるものがあるのです。
そこで、日本における「シラノ」