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あるニュー・フェイスへのてがみ
あるニュウ・フェイスへの手紙
岸田 国士
「演劇 第一巻第一号~第七号」1951(昭和26)年6月1日~12月1日、「演劇 第二巻第一号~第二号」1952(昭和27)年1月1日~2月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,146 字 · 96 页
この現象は、風俗の面で、個々に、具体的に捉えるのが一番た易く、また、わかりいいのですが、例をいわゆる「現代の教養」という問題にとりましょう。
「教養」とはそもそもなんですか? 僕に言わせれば、それは、普通のことを正しく理解し、誰とでもあたり前に話ができ、社会人としての一般的な役割を果し得る知識と感覚とが、自然に身についている状態を指すのです。
従って、「教養」を鼻の先にぶらさげたり、それをおいそれとほかから持って来るなどということは、言葉としても意味をなさないし、そんなことができるわけのものではない。まして、「教養」さえあれば、なにか「特別のこと」ができると思うのはとんだ間違いだ、と言わなければなりません。
「教養」とは、人間の精神のはたらきを、健全に、しかも活溌にする原動力のひとつで、「はたらき」そのものの目的を含んではいません。「教養」自身からは何も生れて来ない代り、「教養」の基礎の上に、精神のはたらきの一つの方向が与えられ、そのはたらきに「教養」の質と程度を示す極印が押されます。
教養の「高さ」とか「低さ」とかは、一応その質と程度を現わすにちがいありませんが、教養が「ある」