轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
うすゆきしょう
うすゆき抄
久生 十蘭
「オール讀物」1952(昭和27)年1月号~3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 30,454 字 · 59 页
薄月の光では細かい所作を見届けることが出来なかったが、なににしても仔細ありげな様子だった。
「打刀を差した男めらが、段畑にむらむらと群れて……はて、それはまたどうしたことだ」
話の仕掛が大袈裟なので、道益は、ことによったら風摩の一味かと仰天したが、間もなく思いあたることがあったので、むむと渋り笑いをした。
「山武士態のが、小夜更けの段畑で、鋤を振っていたというのだな。それでわかった」
風摩の一族が伊豆の聖山で晴耕雨読の簡素な生活をしていたのは、永禄のほんのはじめごろまでのことで、当今はそれぞれ大名小名の手について抱軍師に成上り、一廉の大将面しておさまっているふうだから、夜更けの谷戸で狭畑をほじくりかえすような謙虚な所業をするはずがない。
ひとの話では、永禄十年に信長に岐阜の井ノ口城から追い落され、京の山科の地蔵堂で一塊の腐肉となって世を去った癩病やみ、斎藤竜興の業病の血を引くうからやからが美濃から相模へ流れてきて、こごしい山曲で人目を避けて農耕にいそしんでいるということだが、殊更、そんな夜更けに鍬鋤の業に精をだすというからには、どうやらその一味らしく思われてきた。