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おかまのうた
おかまの唄
小川 未明
「良い子の友」1945(昭和20)年10月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,094 字 · 5 页
生まれたときから、明るい空、いつも花の咲いている景色しか知らないのが、まったく、ちがった自然に接したからでした。
海を見れば、青ぐろい色をして、波の底には、どんなものがすんでいるだろうかと思われ、高い山を見れば、山の向こうにも町があって、人や馬が歩いているだろう、と考えさせられるのでした。
急に、耳をすました少年は、
「いまじぶん、雷が……。」と、おどろきながら、二階へ上がって、空を見まわしました。
海の方は、いつものように暗く、おどる波だけが白かった。屋根の上には、灰色、きつね色、だいだい色、さまざまの雲が、かさなりあっていた。そのため、日はかげっていたけれど、雲の切れめから深い穴をのぞくように、青い空が見えました。
「おじいさん、おそろしい絵を見るような景色ですね。」
少年は走りよって、お祖父さんにたずねました。
「こちらは、これからいつもこんな空模様だ。」と、お祖父さんは、気になされませんでした。
あまり遠いので、そのうち、雷の音は下までとどかなかったが、青白いいなびかりのひらめくたびに、雲の峰々を、浮きだすようにてらしました。
たまたま、金色の日の光が、もれてくることもありました。