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おじさんのはなし

おじさんの話

小山 清

「新潮 第五十巻七号」新潮社、1953(昭和28)年7月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,232 字 · 42 页

青空文庫

米を量っているのをそばで見ていても、その間違っていることはわかったのだが、私はしめたと思い、なに食わぬ顔で米をもらって帰ってきた。私はその米を押入へ仕舞い込んで、毎日徴用先の会社から帰ってくると、少しずつ取り出して煮て食べていた。私は三度の食事は工場の食堂で食べていたのだ。私は押入のなかの米を、私が勤めに出かけている留守の間に誰かが、と云ってもおじさんのほかには誰もいないのだから、つまりおじさんがこっそり取り出して食べはしまいかと思って、随分心配した。どうせ天から授かったような米なのだから、半分おじさんに分けてやろうかと思ったが、惜しくてとても出来なかった。ある日、工場の外註先に用事があって工場から外出したときに、その帰途店に立ち寄ったところ、店の間の事務机の前に腰かけていたおじさんが、思いがけない時刻にあらわれた私の姿を見て、周章てて奥へ引っ込んだ。へんに思っておじさんの後に続くと、おじさんは台所から二階へ通ずる梯子段を上っていった。台所にある瓦斯焜炉がふと目についたが、それにはその上にたったいままでなにかが載せてあった形跡が見える。私はさてはと思い、おじさんの後を追って二階へ上ると、おじさんはおじさん専用の半間の押入になにやら入れていそいで戸を閉めたところらしく、白ばっくれた間の悪い顔をして、