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おもしろいはなし

おもしろい話

畔柳 二美

「言語生活 四十六号」筑摩書房、1955(昭和30)年7月1日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,763 字 · 6 页

青空文庫

彼女は、京都とは云っても、先斗町という花柳界に育っているために、一般人よりも更に封建的な言葉をつかっていたのかも知れない。

その婦人は、「足」のことを、「あいやあ」と云い、「手」のことを「てて」と云っていた。

あるとき、その婦人が、いかにも寒むそうな顔つきで私に云った。

「うち、どないしましたんやろう、えろう、さぶうて、さぶうて、かなしませんのどす」

「おこしをたくさん巻いたらいいでしょう」

すると、その婦人は、目をまんまるにして私をみつめた。

「はあー、そうどすか。そない話ききますの、うち、はつみみどす。そんで、そのおこしはどこえまきますのどす」

「それは、その、腰へ巻くんです」

「へえー、腰へまきますのどすか。それで、おこしは、あわおこしがよろしゆおますか」

今度は、私のほうの目が、まんまるになってしまった。彼女たちは「すそよけ」もしくは「腰まき」と云っていたのであった。

その婦人は「かたい」ということを「かんぱちこ」と云った。餅が、かたい、というときには、「お餅さんが、えろう、かんぱちこになってますぅ」と云い、油が凍った、ときには、「えらい、油が、かちかちのかんぱちこ」