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おもしろいはなし
おもしろい話
畔柳 二美
「言語生活 四十六号」筑摩書房、1955(昭和30)年7月1日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,763 字 · 6 页
と云った。
ある日、その婦人の子供が病気になった。朝から、医者がくるやら、氷を買うやらの大騒ぎをしていたが、やがて、そのうち、家政婦会から派出婦がやってきた。そのときまで手伝っていた私は、派出婦の姿をみかけるや、すっかり安心をして家へ帰った。
ところが、その隣家の婦人は、二十分もしないうちに、顔色をかえて私の家へ駈けてきた。
「ほんまに、どないしましたら、よろしゅうおまっしゃろ。せっかく、家政婦さんがきいてくれはって、やれやれ思いましたのどすけれど、なにが、なにやら、ちんぷんかんぷん、わけ、わかりしまへんのやわ」
「それ、一体、何のこと」
「なんのことも、かんのことも、あらしません。せっかく、早ようにきてくれはったはよろしおますが、あのかた、朝鮮のおかたどす。うちが、ゆうて、話しても、うろうろ、うろうろ。ゆうたとおりに、動きしませんのどす。その上、あのお方の言葉ゆうたら、ほんまの朝鮮語どす。奥さん、お頼み申します。きておくれやっしゃ。みて、おくれやす」
私は、彼女が朝鮮語を知っている、ということを意外に思ったが、とにかく、一緒に、彼女の家へ駈けつけた。