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おくみさんとそのしゅうい

お久美さんと其の周囲

宮本 百合子

「宮本百合子全集 第一巻」河出書房、1951(昭和26)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,369 字 · 149 页

青空文庫

、第3水準1-91-24)子の胸を荒れ廻って、「若し万一此の人に自分でない者が斯うして居たら」と云う途徹も無い想像の嫉妬までおぼろに起って来までした。

けれ共やがて、それ等の過激な感情が少しずつなりとも鎮まって来ると、純な愛情に溶かされた様な、おだやかな、しとやかな、何者かに感謝しずには居られない嬉しさに※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子は我を忘れて居た。

お久美さんは大変静まった様子をして居た。

手を預けた儘打ち任せた寛やかな面差しで居るのを見て※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子は何となし驚ろかされた様な気持になった。

※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子は両親が有って而も大切がられて、かなり暖かな気持に包まれて居てさえ此れ程感動するのに、不幸が離れる事のない哀れな暮しをさせられて来たお久美さんは自分の倍も倍もどうか有りそうなものだのに「若しかしたらそれを感じない程に荒んだ気持になって居るのでは有るまいか」と云う歎かわしい疑が一寸※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子の頭に閃いたがそんな事は瞬きをする間に消えて仕舞って※(「くさかんむり/惠」