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おくみさんとそのしゅうい

お久美さんと其の周囲

宮本 百合子

「宮本百合子全集 第一巻」河出書房、1951(昭和26)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,369 字 · 149 页

青空文庫

、第3水準1-91-24)子の心にはフッと或る事が浮んだ。

そして鋭く聞いた。

「何故?

「いいえ、何故って、

何故って事もありませんですけれどね。

あんまり彼方此方から云われると却って変に出てなかなか出さない人が有りますですから。

「そうかも知れませんね。

けれどあんまりはかどらないから丁度町に知った弁護士が居るから其の人に口を利いてもらいたいって云う事も云って居るんですけれど。

「さあ、それはどうでしょうかね、

私なんかには分りませんけれど、それ程にする事はありますまいと思いますよ。

まあ弁護士と云えば公になり勝ちでございますもん、事を荒だてて見た所でさほどの功も有りませんでしょうよ。

まあ勝手な事を申しますが、当分は家にお委せなすって居らしってようございましょう。

どうにかなりましょうから。

「そうですね。

そいじゃあ山田さんがお帰りなすったらよくお話しなすっといて下さいまし。

御いそがしいでしょうが、どうぞよろしくお願い申しますってね。

※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子は帰る道々、どうしても、彼方からは金は返ったのだけれ共山田の家で消えて仕舞った様な気がしてたまらなかった。