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おかあさんのかんざし

お母さんのかんざし

小川 未明

「童話研究」1929(昭和4)年7月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,577 字 · 6 页

青空文庫

これとお換えになってはいかがですか。昔ふうのものを探していらっしゃるご老人がありますので、私のほうは、損がいくのですが、お換えしようと申すのです……。」といいました。

母親は、前にきた行商人が、ガラス珠だといったことを覚えていたので、つまらない品とよい品と換えるなら、たとえ形見であろうとも許してもらえるような気がして、その男の金のかんざしと、自分の頭にさしている青い珠のかんざしと取り換えたのであります。

行商人は、いそいそとして、村をあちらへ歩いて去りました。ちょうど、その後へ、はじめにきた男が、いつものごとく、箱をせおってやってきましたが、いま、ほかの行商人とかんざしを換えたということを話すと、びっくりして、目の色を変えながら、

「ど、どれ、そのさんごの珠のついている、金のかんざしをお見せなさい。」といいました。

そして、それを手に取って見て、

「これは、めっきした安物だ。あの青い珠はほんとうは、ガラスでない、珍しい石なんです。どこのものか、知らないやつに、もうけられてたまるものか……。私が、とりもどしてきてあげましょう。」と、金のかんざしを手に握って走り出しました。