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かたいおおきなて
かたい大きな手
小川 未明
「銀河」1948(昭和23)年7月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,886 字 · 8 页
」と、おじいさんも、大きな声で、笑われました。
「夏時分は、自分の家から、はだかになって、さるまた一つで、いく人も、あります。」
「そんなに、気をつかうのでは、湯にも、らくらくはいれまいが。」
「そうなんです。それに、こみあいますし、まったく、湯にいくのもらくではありません。おじいさん、いなかはどんなですか。」と、おとうさんが、聞きました。
「いなかは、まだそんなでない。昔とちがい、だいぶ暮らしむきが、きゅうくつにはなったが、湯へいって、着物をぬすまれたということは聞かない。村でも、よくよく困ったものには、自分たちのものを、分けてやるぐらいの義理や、人情が残っているからな。」と、おじいさんは、答えました。
子どもながら、勇吉は、この話に、感心しました。
「ねえ、おかあさん、おあしを忘れていっても、お湯に入れてくれますね。」と、勇吉が、口をだしました。
「さあ、このごろは、どうですか。」
「なんで、入れるものか。」と、おじいさんは、反対しました。
「それで、おじいさんは、お金を落としたら、たいへんと思って、たもとをにぎったり、おさえたりしたの。」
勇吉は、さっきのことを思うと、おかしかったのでした。