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そのひからしょうじきになったはなし
その日から正直になった話
小川 未明
「赤い鳥」1927(昭和2)年9月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,341 字 · 7 页
「おじさんは、日の暮れないうちに、また遠くまで歩かなければならぬのだ。坊のお家はよほどあるだろうから、たばこをすうのを我慢していこう……。」といったのです。
少年は、目をかがやかしながら、
「すぐに持ってきてあげよう!」といって、あちらへ向かって駈け出しました。
旅人は、少年のしんせつを無にしてはいけないと思って、黙って、ほほえみながら、そのうしろ姿を見送っていたのです。
少年は、近くに、友だちの家があるから、そこへいって、マッチを借りてこようと思いました。いっしょうけんめいに駈けて、森を曲がると、友だちの家が畑の中に見えました。彼は、元気づいて、その家の入り口まで、息を切らしながらたどり着きました。彼は、友だちの名を呼んだ。けれど、返事がなかった。
「いないのだろうか?」と、少年はがっかりしました。
しかし、自分は、友だちのお母さんを知っているから、家へはいって頼もうと思いました。彼は、家へはいりました。けれど、家は、みんな留守であって、だれもいなかったのです。
「畑へいっているのだろうか?」
少年は、こうつぶやくと、しかたなしに、その家から出て、こんどは、知っているおばあさんの家へ駆けていったのです。