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そのさくはひつようか

その柵は必要か

宮本 百合子

「新日本文学」1949(昭和24)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,783 字 · 30 页

青空文庫

そしてまた、徳永自身、船山についての鈴木茂正の感じかたを肯定したことだったろう。

なぜ、いまのところ労働者は、そういう作品が書けないかということについて、東京重機の吉田文雄は、意味ふかい説明を与えている。吉田文雄の話は、こんにち自覚した組織労働者が、もう「太陽のない街」や「党生活者」の真似をしても、それでは生きた小説が書けない新段階に生きていることを語っている。こんにちの社会的現実は複雑で、労働者の闘争の方法も多種多様である。それをつっこんでゆけば、「もう日本の金融資本の実体を文学の上にかかなければならぬと思うのです。」「社会を描かなければならない。」それを書かないで「本当のストライキの情勢はかけない。そういう風になってくるからなかなか書けない。」「実際経験して分っていても、感情とか意識というものが、そこまで発達していないために書くことができない」といわれているのである。これはがんみしなければならない言葉である。

最近二、三年のあいだに、五〇〇万人の労働者が組織されて画期的な闘争が経験された。積極的にそれらの経験をした人の中から、こんにちこの言葉が実感をもっていわれているのは、労働者の文学がただ政治・経済闘争の反映だけでは足りないと自覚されてきているという大きな内容的前進を語っている。