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つばめとうお

つばめと魚

小川 未明

「初等四年」1946(昭和21)年10月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,208 字 · 5 页

青空文庫

月ばかりは、昔から、今日まで、なにを見ても、悲しむこともなければ、また喜ぶこともなかったのです。さながら、つんぼで、おしの女のように、ただ、じっと、この世の中の有り様をみつめているばかりでした。

ある日、つばめは、カンナの花や、さるすべりの花が、赤々と咲いている、公園を飛んでいて、ふと魚たちのことを思い出しました。

「そうだ、私は近いうちに、南の国へ旅だつが、あの魚たちは、その後どうしているだろうか。」

つばめはそう思うと、すぐ町の店へやってきました。すると、いつか熱帯魚のはいっていたガラスのはちには、ふな、はや、たなごなどの、うす墨色をした、川魚の子が、はいっていました。

「もしもし、いつかの魚たちはどうしましたか。」と、つばめは、川魚の子に、ききました。

「ああ、あのきれいな魚さんたちですか、この店のおかみさんが、主人の留守に、水をかえるのを忘れて、みんな病気にしてしまい、おかみさんは、たいそうしかられましたよ。」と、ふなが、おしえました。

「まあ、かわいそうに、そしてどうしましたか。」と、つばめは、友の身の上をしんぱいしました。

「このおくの、別のいれ物へいれてあるようです。