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とんまのろくべえ

とんまの六兵衛

下村 千秋

「赤い鳥」赤い鳥社、1925(大正14)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,821 字 · 8 页

青空文庫

「うん、なりてえよ。」と答えます。

「利口になりたくないかい?」と尋ねると、

「うん、なりてえよ。」と言って、いつものようににやにや笑っています。

ある日のこと、重吉はなにを思ったか、お父さんが大切にしまって置いた掛け物を、そっと取り出して、台所の片隅にかくしてしまいました。するとお正月が来て、お父さんがその掛け物を床の間へかけようとすると、いつもしまってある場所に見当たりません。お父さんはびっくりして、家中を探し回りましたが、どうしても見つかりません。お父さんは弱ってしまいました。これを見すまして重吉はお父さんの前に行って、

「お父さん、私の友達の六さんはうらないがうまいよ。だから掛け物のある場所をうらなわせてみてごらんよ。」と言いました。

すると、お父さんは笑いながら、

「なに、とんまの六兵衛がうらなうって? これほどさがしても見つからぬものを、あんな馬鹿にどうしてわかるものかえ。」と言って、まるで取り合ってくれません。

「お父さん違うよ。お父さんはまだ六兵衛さんのえらいことを知らないんだ。六兵衛さんはうらないにかけては日本一なんだよ。」

あまり重吉がまじめに言い張るので、お父さんもついその気になって、