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どこかにいきながら

どこかに生きながら

小川 未明

「童話」1946(昭和21)年7月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,469 字 · 9 页

青空文庫

子ねこは、身ぶるいしました。

いきかけた母ねこは、ふりむいて、

「きょうは、あとから、いいお天気になるよ。また、遊んであげましょうね。」といいました。

この屋根の下には、どういう人たちが、住んでいるかわからなかったけれど、朝と晩には、若やかに、元気のある話し声や、笑い声がし、昼間は、まったくしんとしているのをみると、若い者たちは、どこへか働きに通勤し、老人が留守をするごとく思われました。たぶん、老人は、一人いるのでしょう、ときどきしゃがれたせき声がきこえ、流しもとで水を流す音がしたのでありました。ほかにいたずらをするような子供がいなかったのは、なによりのしあわせでした。

近傍にある、高いかしの木の落ち葉が、風に飛んできて、といや、ひさしの奥に、たまっていました。おりおり、それらが、龍巻きのごとく、おどり出すことがありますが、二匹のねこは、ひさしのすみの方で、風をさけながら、それをながめていました。

ある日のことでした。太陽のよくあたる屋根の上で、母ねこと子ねこが、きげんよく、からかいあって、遊んでいました。すると、どこからか、

「やせたお母さんの、お乳しかのまないのに、あの子ねこは、よくふとっているのね。