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なよたけ

なよたけ

加藤 道夫

「三田文学 四・五月号、六月号、七・八月号、九月号、十・十一月号」1946(昭和21)年5月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,415 字 · 163 页

青空文庫

……)

男女の哄笑、再び爆発。

突然、物凄い電光と同時に、天地の揺らぐような雷鳴。……あたりはみるみるうちに暗くなった。烈しい豪雨が降り出した。男女の群集、恐怖の声を上げて、消え失せる。二人の外には、大納言だけが仰天したような顔をして、残る。

御行 (空を見上げ、歯の根も合わぬ震え声)ああ、こ、これは大変な天気になって来た! あ、あなた方も、さ、早く!……なにをそう呑気に抱き合ったりなぞ、しているのです! こ、これはひどい雨だ! さ、さ、あなた方も早く……

再び、前よりももっと烈しい電光と、続いて雷鳴。大納言は叫び声を上げて消え失せる。

二人は何の物音も感じないかのごとく、驟雨の中に、寄り添って立っている。……もう一度最も烈しい電光。……雷鳴なし。

やがて、……

烈しい雲脚が次第次第に薄らいで行く。……あたりがだんだんだんだん明るくなって来た。……

長い間、身動きせず、無言のまま寄り添って、二人は立っている。

再び至福の太陽が雲間から、輝き出た!

雨に濡れて、あたりは金色に輝くごとく……

見よ! 大きな虹があらわれた!

きらきらと輝く御所車の上つかた、斜めに天空へかかっている。