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なよたけ

なよたけ

加藤 道夫

「三田文学 四・五月号、六月号、七・八月号、九月号、十・十一月号」1946(昭和21)年5月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,415 字 · 163 页

青空文庫

この辺の地理的な状況はそりゃ君の方がずっと詳しいんだし………

清原 (どんどん早足で行きながら)さあ、早く、早く! 早くしたまえ! 石ノ上! 早くしないともう大納言様が来てしまわれる………(左手に消える)

文麻呂 (その後を渋々と追いながら、ぶつぶつと)何も行かないとは云ってやしないよ。そりゃ僕にはこの辺はどうも勝手がよく分らないんだし、……君の云うことをどうのこうのと云ったって、なにも別に………(突然、立止り、左の方を睨むようにして、大声で怒鳴る)

おい! 待てッ! 清原! 落着け!

――(溶暗)――

第二場 (幕間なし)

竹取翁、讃岐ノ造麻呂が竹籠を編みながら唄う「竹取翁の唄」が次第に聞えて来る。なよたけの弾く和琴の音が美しくも妙にその唄の伴奏をしている。わらべ達の合唱が、時々それに交る。

〔竹取翁の唄〕

竹山に 竹伐るや翁

なよや なよや

竹をやは削る 真竹やはけんずる

けんずるや 翁

なよや なよや

〔わらべ達の合唱〕

なよや なよや なよや

〔竹取翁の唄〕

竹山に 竹取るや翁

なよや なよや

竹をやは磨く 真竹やはみんがく