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なよたけ
なよたけ
加藤 道夫
「三田文学 四・五月号、六月号、七・八月号、九月号、十・十一月号」1946(昭和21)年5月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,415 字 · 163 页
あんなあななんてもうどこにもいなくなって、……どうしたらいいのか分らなくなるようなしあわせがやって来るのよ。
さまざまな小鳥達が思い出したように美しい声で囀り始めた。
春の陽光は眼覚めるばかりにその輝きを増し、緑色の木洩日の耀いは一段と鮮やかになって行く。子供達は何やらみな一様に眼を輝かして、太陽を仰ぐ。
なよたけ 御覧!………ほら。あのお天道様のいらっしゃる限りもなくひろいひろいお空は、あたし達のいるこの竹林にまでずーっと続いて来ているのよ。あたし達はみんなお天道様のもの。なんでもかんでもみんなお天道様が創って下さったものよ。この数えきれない竹の木も、地面からにょきにょき生えて来るたけのこも、……雨彦! (指さして)ほら、あっちの方でちゅくちゅく鳴いている鳥はあれはなあに?
雨彦 目白! (目白の鳴声、一段と高く、ひとしきり)
なよたけ 蝗麻呂! (指さして)じゃ、向うの方でちゅんちゅん鳴いてるのは?
蝗麻呂 やまがら! (やまがらの鳴声、一段と高く、ひとしきり)
なよたけ こがねまる! こっちの方で、ひーよひーよって鳴いてるのは?
こがねまる ひわ! (ひわの鳴声、一段と高く、ひとしきり)