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なよたけ

なよたけ

加藤 道夫

「三田文学 四・五月号、六月号、七・八月号、九月号、十・十一月号」1946(昭和21)年5月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,415 字 · 163 页

青空文庫

学生2 (自分の本をめくってみせる)これさ。……(読む)

天地果シテ無キレ初乎吾不ル二得テ而知ラ一レ之ヲ也

生人果シテ有ルレ初乎吾不ル二得テ而知ラ一レ之ヲ也

然ラバ則チ敦レカ為スレ近シト曰ク有ルヲレ初為スレ近シト……………

学生1 むずかしそうだな、こりゃ。

学生2 むずかしいね。……やって行かなかったら、まず、零点だな。

学生1 (当惑して、自分の本をぺらぺらめくる)弱ったな。……柳宗元はちっともやってないんだ。

学生2 (慰めるように)第一、橘先生がいけないんだよ。……いくらなんでも葵祭の翌日に試験をするなんて、あんまり非常識すぎるよ。

学生1 (絶望的にぺたんと本を閉じ、左へ歩きながら)あゝあ。せっかく、楽しみにしてたのに。……今年の葵祭はおじゃんだ。……家へ帰って、また暗誦だ、暗誦だ。……お社のお神楽も諦めた。

学生2 僕あ行くよ。……(左へ退場)

女4 (右より)そういうお噂なんですって。

女5 まあ、……大納言様が?

女4 もっぱらよ。

女5 でも、まあ、奥の方のお可愛想なこと!

女4 それに、今度の御相手は、なんでも、竹籠作りのお爺さんとかの娘で、それもまだ十七、八のとんだ賤しい田舎娘なんですって!