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ひすいのたま

ひすいの玉

小川 未明

「幼年クラブ」1949(昭和24)年1月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,347 字 · 7 页

青空文庫

町というものは、ふしぎなものです。大通りから、すこしよこへはいると、おどろくほど、しずかでした。子どもたちは、そこで、ボールを投げたり、なわとびをしたりして、遊びました。

横町の片がわに、一軒の古物店がありました。竹夫は、いつからともなく、ここのおじさんと、なかよしになりました。おじさんは、いつも、店にすわって、新聞か雑誌を読んでいました。まだ、そう年よりとは思われぬのに、頭がはげていました。

竹夫は、そのそばへ腰かけて、なにか、おもしろいものがありはしないかと、店の中を見まわしました。ほんとうに、いろいろのものが、ならべてありました。しかし、たいてい名を知らぬものばかりです。それに、むかしのものが多く、いまはつかっていない品なので、どうして、これがいいのか、ただ見るだけでは、美しいというよりか、むしろきたならしい感じがしたのでした。

「おじさん、あれは、女の顔なの。それとも、男の顔なの。」と、竹夫が、柱にかかっている、面をさして聞きました。どちらにも見えるからでした。

「あの、お能の面か。女の顔さ。あれは、なかなかよくできているのだよ。」

こう、おじさんに聞くと、なるほど、どことなくけだかさがあり、それでいて、いまにもにっこりわらいそうです。