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ひとをたのまず

ひとをたのまず

小川 未明

「少年少女ペン」1949(昭和24)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,355 字 · 3 页

青空文庫

ある日、私は偶然、前を歩いていく三人の子供を、観察することができました。

甲は背が高く、乙は色が黒く、丙はやせていました。そして、バケツを下げるもの、ほうきを持つもの、そのようすはどこかへそうじをしに、いくように見えました。

その日、彼らは、学校で、成績表をもらったのであろうか、

「君は、成績が、よかった?」と、乙が、甲に向かって、ききました。

甲は、すました態度で、なかなか、それに答えようとしませんでした。乙が、まず自分から、

「ぼくは、優が一つで、あとみんな良だったよ。」と、教えました。はじめて、甲は、

「ぼくは、ちょうど、その反対だった。」と、いいました。

「じゃあ、良一つしかなく、あとみんな優なのね。」と、乙は、その成績の、あまりいいのに、おどろいたようでした。

甲は、だまって、うなずきました。

「君は?」と、こんどは、乙が、丙に向かって、ききました。いままで、二人の話をききながら、歩いていた丙は、下を向いて、なんといわれても、だまっていました。

「いいだろう、教えても。」

そう、乙が、いったけれど、丙は、やはり下を向いていました。

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