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ひとわれをこうしきしゅぎしゃとよぶ

ひと吾を公式主義者と呼ぶ

戸坂 潤

「中央公論」1937(昭和12)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,981 字 · 19 页

青空文庫

ではないかとも考えられる。ホーレン草にも沢庵にも利くというものは、そんなにざらにあるものではない。尤もシステムは瓶に這入った味の素ではない、何にかけても美味くなるという事件そのものが、システムであろう。或いは一切の植物性食物に含まれている含有味の素が、システムかも知れない、して見るとフランスのアンシクロペディストなどは、こうした文化的味の素の発見者であったわけだ。之が教養という問題の本当の形だと思うが、するとさっきから云って来た処によって、最も教養ある人間は最も公式的でなくてはならぬということにさえなるようだ。

公式は拒み得ても科学的公式は拒み得ない、科学的公式を拒み得てもシステムを拒み得ない。最後にシステムを拒むことは出来ても科学的システムを拒むことは出来ない。拒むということがすでにシステムに依らねばならぬことだからだ。尤もシステムに依らず無理論的に拒絶することが現在の日本では流行らぬでもない。そして知性とかいう言葉もこの肝心の処ではサッサと二つに分れる。どっちへ行こうと知性に変りはないらしい。だから私は知性というような二股かけた日本語は信用しないのである。