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びっこのおうま

びっこのお馬

小川 未明

「童話」1922(大正11)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,615 字 · 8 页

青空文庫

二郎は、自分の机のひきだしの中に、色紙と、はさみとを持っていました。彼は、それを取り出してきて、びっこの青い馬を切り抜いたのでした。

その紙の馬は、よくようすが、あのとき見た、びっこの馬に似ているように、自分に思われました。

彼は、その馬を立つように工夫しました。そして、それを机の上にのせてみては、いろいろと空想にふけっていたのであります。

「かわいそうな馬が、こうして、今日も、どこかの道の上を歩くであろう。」

こう、二郎は、紙の青い馬をながめて思っていました。あのとき見た馬は、青い馬ではなかったのです。しかし、彼が紙の青い馬を見ているうちに、頭の中の馬も、いつしか青い色に変わってしまったのであります。

ちょうど春で、ぼけの花の咲く時分でありました。兄は、どこからか、ぼけの植わっている鉢を持ってきました。いまその木には、真紅な花がもみつけたように盛りでありました。兄は、それを庭先の石の上にのせて、朝晩、水をやって、大事にしていました。

ある夜のこと、庭先でねこがたいへんにないて、けんかをしました。翌日、戸を開けてみると、ぼけの枝が一本折れていました。