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もののいえないもの

もののいえないもの

小川 未明

「大毎コドモ」1934(昭和9)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,387 字 · 9 页

青空文庫

これを、二人は見て知っていました。

「あのカチカチのおじさんは、いいおじさんだね。」と、敏ちゃんがいうと

「やさしい、いいおじさんだなあ。」と、徳ちゃんもいったのです。

「ドンドンは、小さい子がころんでも、知らん顔をしているね。」

「泣くと、あっちへいけというだろう。あんな人は悪いおじさんだね。」

「僕、カチカチすきだ。」

「僕も。」

こういってから、二人はカチカチのひいきとなったのでした。

「黄金バットかな。」

「そうかもしれないよ。」

カチカチのおじさんは、もうはじめていました。

「たこ坊主のおかみさんに、どうぞ夫の仇をうってくださいとたのまれる、ヨシ、そんなら私が仇をうってやろうと、かっぱの親分は、さっそく子分をよびあつめて、水をくぐってみつからないように、摩天楼に近づくように命じました。早くもそれを感じてノラクロは、このことをアグチャンに報告したのであります。」

お宮のけいだいにあつまっている子供たちは、ねっしんに聞いていました。

お話がすむと、徳ちゃんが、「敏ちゃん、おいでよ。」といったので、敏ちゃんは徳ちゃんのお家へ遊びにいきました。徳ちゃんのお家はあらもの屋でした。