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よろこびのあいさつ

よろこびの挨拶

宮本 百合子

民主的な建築団体創立総会へのメッセージ、1946(昭和21)年6月8日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 1,923 字 · 4 页

青空文庫

人間が、人間らしく幸福に住むためには、どの位の空間がいるものでしょう。そして、その空間は、今日の社会の進歩と自然の条件とに対して、健全に人間を休ませ、活動させるためには、どんな備えをもっていなくてはならないものでしょうか。

大昔は穴居していた人間。それから城廓とそのぐるりの小舎に住んでいた人々。市民の家屋というものが、都市に出現するようになってから、われわれの文化史は重大な変化を経験しました。この変化につれて「家を建てる人」の社会における意味も一世紀ごとに推移しました。家を建てる仕事が「言葉なき家畜」である奴隷の労役によってされた時代から、有名な築城師があらわれました。ついで、芸術家としての名建築家が、王侯貴族たちの名声と権力と金の力とをつくしてその腕を発揮しました。近代社会の経済機構が基礎をかためてからは、資本が、建築のすべての条件を決定するようになりました。建築家は自身のどんな想像力を具体化することが出来たでしょう。資本が、その天性にしたがって強力無慈悲な計算をする、その計画に、どの程度のプロメシウス的な反抗をしたでしょうか。

例えば、ひところの住宅建築に、空間のぬけ目ない利用或は立体化ということが流行ったことがあります。