轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ろまんどうろう

ろまん灯籠

太宰 治

「婦人画報」1940(昭和15)年12月~1941(昭和16)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,222 字 · 74 页

青空文庫

それでは、あまりにラプンツェルが可哀想だ。王子に気の毒だ、と義憤をさえ感じて、美人であった、その顔は輝くばかりに美しかった、と勢い込んで書いたのであるが、さて、そのあとがつづかない。どうも長兄は、真面目すぎて、それゆえ空想力も甚だ貧弱のようである。物語の才能というものは、出鱈目の狡猾な人間ほど豊富に持っているようだ。長兄は、謂わば立派な人格者なのであって、胸には高潔の理想の火が燃えて、愛情も深く、そこに何の駈引も打算も無いのであるから、どうも物語を虚構する事に於いては不得手なのである。遠慮無く申せば、物語は、下手くそである。何を書いても、すぐ論文のようになってしまう。いまも、やはり、どうも、演説口調のようである。ただ、まじめ一方である。その顔は輝くばかりに美しかった、と書いて、おごそかに眼をつぶり暫く考えてから、こんどは、ゆっくり次のように書きつづけた。物語にも、なんにもなっていないが、長兄の誠実と愛情だけは、さすがに行間に滲み出ている。

――その顔は、ラプンツェルの顔ではなかった。いや、やっぱりラプンツェルの顔である。しかしながら、病気以前のラプンツェルの、うぶ毛の多い、野薔薇のような可憐な顔ではなく、(女性の顔を、とやかく批評するのは失礼な事であるが)いま生き返って、幽かに笑っている顔は、之は草花に