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われをかえりみる
われを省みる
宮本 百合子
「女性日本人」1923(大正12)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,652 字 · 12 页
青年期は、十六七歳から二十二三歳迄、更年期は丸四十三四歳乃至五十一二歳。丁度、美術愛好者が、古代ギリシャ建築の明美な柱列を見た時、心を打れ、何はともあれ、アカンサスの葉で飾られた精緻な柱頭と、単純で力強い柱台とに注意を向けた如く、学徒が、狂暴な程、雑多な原質の目覚める青年期、不思議に還元的色彩を帯びる更年期を特に著しい二焦点と感じるのは、まことに興味をそそることなのです。
けれども、各個人の実際の内省によると、必ずしも一般論の上から危期とされる時期が自己の運命には、さほど重大さを持たなかった場合もあるらしく見えます。却って、学理などの一向挙示していない年代に一人の一生にとっては見逸すべからざる動揺の生じることがある。桜は春咲く花と云っても、確定した日までは予言出来ないように、深甚な運命の戸口は、箇性の置かれた繞境、発育の程度によって、皆異なった瞬間に開かれます。教育者などが或る時陥りがちな、概念的類推にのみよらず、自己の道程を、全く自己に即して内観することの必要は、この点でも明かにされるのです。
私は、今丁度、研究者の使う用語を以てすれば、青年期の末端、成年期に入ろうとするところにあります。