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アインシュタインのきょういくかん

アインシュタインの教育観

寺田 寅彦

「科学知識」1921(大正10)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,895 字 · 18 页

青空文庫

そういう人々にとってこのモスコフスキーの著書は甚だ興味のあるものであろう。

モスコフスキーとはどういう人か私は知らない。ある人の話ではジャーナリストらしい。自身の序文にもそうらしく見える事が書いてある。いずれにしても著述家として多少認められ、相当な学識もあり、科学に対してもかなりな理解を有っている人である事は、この書の内容からも了解する事が出来る。

この人のアインシュタインに対する関係は、一見ボスウェルのジョンソン、ないしエッカーマンのゲーテに対するようなものかもしれない。彼自身も後者の類例をある程度まで承認している。「琥珀の中の蝿」などと自分で云っているが、単なるボスウェリズムでない事は明らかに認められる。

時々アインシュタインに会って雑談をする機会があるので、その時々の談片を題目とし、それの注釈や祖述、あるいはそれに関する評論を書いたものが纏まった書物になったという体裁である。無論記事の全責任は記者すなわち著者にあることが特に断ってある。

一体人の談話を聞いて正当にこれを伝えるという事は、それが精密な科学上の定理や方則でない限り、厳密に云えばほとんど不可能なほど困難な事である。