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アインシュタインのきょういくかん
アインシュタインの教育観
寺田 寅彦
「科学知識」1921(大正10)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,895 字 · 18 页
アインシュタインはヘルムホルツなどと反対で講義のうまい型の学者である。のみならず講義講演によって人に教えるという事に興味と熱心をもっているそうである。それで学生や学者に対してのみならず、一般人の知識慾を満足させる事を煩わしく思わない。例えば労働者の集団に対しても、分りやすい講演をやって聞かせるとある。そんな風であるから、ともかくも彼が教育という事に無関心な仙人肌でない事は想像される。
アインシュタインの考えでは、若い人の自然現象に関する洞察の眼を開けるという事が最も大切な事であるから、従って実科教育を十分に与えるために、古典的な語学のみならず「遠慮なく云えば」語学の教育などは幾分犠牲にしても惜しくないという考えらしい。これについて持出された So viele Sprachen einer versteht, so viele Male ist er Mensch. というカール五世の言葉に対して彼は、「語学競技者」は必ずしも「人間」の先頭に立つものではない、強い性格者であり認識の促進者たるべき人の多面性は語学知識の広い事ではなくて、むしろそんなものの記憶のために偏頗に頭脳を使わないで、頭の中を開放しておく事にある、と云っている。