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エマヌエル・カント『しぜんてつがくげんり』かいせつ
エマヌエル・カント『自然哲学原理』解説
戸坂 潤
「カント著作集 第一一巻」岩波書店、1929(昭和4)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,570 字 · 72 页
力学に就いて
故に化学的変化は動力学的に説明されることの外はない。一般にもし力学的・数学的説明法をとるならば、例えば密度の差を説明するのに間隙の虚空間を仮定しなければならなくなるであろう。之は正に力学的自然哲学、デモクリトスの原子説乃至デカルトの微粒子説に外ならぬ。固より吾々は経験の範囲に属する筈のこの種類の考え方が不可能であることを先天的に証明出来るとは思わない。けれども少くとも之が必然的でないことだけは主張出来よう。カントは之に代るものとして動力学的・形而上学的説明法を採用するのである。
力学に就いて
一物体が他物体を牽引し又は反発することに於て運動の分与が成り立つ。運動の分与と付与とは区別される必要がある。運動付与の力は物質に根源的であり、運動分与の力はそれから導き出されたものであって、前者は動力学の対象であり、後者が始めて力学の対象である。さて牽引による運動の分与と反発によるそれとはただその方向を異にするだけであるから、吾々は反発による場合を述べることによって一般に及ぼすことが出来るであろう。反発に於ける運動の分与は圧迫と衝撃でなければならない。
運動が分与されることは運動する一物体が他物体に及ぼす作用の結果である。