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オシャベリひめ

オシャベリ姫

かぐつち みどり

「九州日報」1925(大正14)年9~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,785 字 · 49 页

青空文庫

あなたから短刀と蜘蛛のお話をきいていながら、なぜそれをきかないなぞ云って、あなたのお父様を怒らして、あなたを石の牢屋へ入れさせたのでしょう」

「そうですわねえ。私は今でもそれを不思議と思っているのですよ。私の二人の女中は、今までそれはそれは忠義ないい女中で、そんな意地のわるいことをしたことは一度もありませんでしたのに……」

「不思議ですね」

「どうしたのでしょうね」

と二人は顔を見合わせました。

そのときにはるか下の方でバタンバタンという音につれて、

「ウーン、ウーン」

という声がきこえました。

二人はビックリしましたが、すぐに上り口からはるか下の方をのぞいて見ますと、長い長い梯子段の下のところで、例の大きな蜘蛛と、白い衣服を着た女の人とが一生懸命で闘っていますが、その女の人は見る見る蜘蛛から糸で巻きつけられてしまっているのが、窓からさし込んだ月の光りでよく見えます。

「おッ。あれは私の母の妃です。おのれ蜘蛛の奴」

と云ううちに、王子は矢のように梯子段を駈け降りて行きました。

オシャベリ姫はどうなることかと見ておりますと、梯子段を降りた王子は懐中から短刀を抜き出すや否や、たった一撃ちに蜘蛛の眼と眼の間へ突込んで殺してしまいますと、つづいて同じ短刀でお妃に巻きついた糸をズタズタに切り破ってお妃を助け出しました。