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カントとげんだいのかがく
カントと現代の科学
戸坂 潤
「哲学研究 第九巻第一〇五号」
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,044 字 · 22 页
三 因果律
併し之とても実在認識とはある関係を吾々に固有な主観性に与えられた形式によって云い表わすことであるというカントの根本精神に基くものと考えられる。ただ真にカントを離れる点は数学的概念を茲に応用するに際して多数の形式が可能であり又事実要求されるということに外ならぬ。即ち就中空間乃至時間的な規定を抽象的な量概念によって置き換えたが如きことはその一つであると考えられる。要するにカントと近代の物理学との多くの矛盾は実在認識の持つ二重の性質から説明出来るであろう。即ち直接の知覚と知的な思惟上の理解の仕方との二つである。カントは後者を眼中に置かなかったのであるが恰も之が近代の物理学の発達に相当するものでなければならぬ。併し又物理学が「直接に認識し得る」という誤謬に陥り易い時之を警戒するものはカントの時間及び空間の表象の思想でなければならぬ。
三 因果律
カントは第二比論に於て「継起する(存在し始める)ものは総て、それが或る規則に従って結果する処の何物かを予想する」というのであるが、かかる因果関係に於て特に一つのものをとり出してそれを原因と考えることは作為なくしては不可能である。