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キドこうか

キド効果

海野 十三

「新青年」1933(昭和8)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,298 字 · 25 页

青空文庫

これは筆者が鳥渡解説をして置こう。

40-1=39で、三十九人の残りの人々の上に、殺人の嫌疑が落ちた。殺人であって自殺ではないことは、後に隧道の中から探し出された轢断屍体の咽喉部に残る紫色の斑紋から明らかなことだった。扼殺――つまり喉を締めたのだ。そして屍体を窓の外へ突き落としたのだった。屍体といってもまだ生暖いやつが、車輛と車輛の間からレールの上に落ちるが早いか、ザクリとやってしまったのだった。パッと飛び散る血潮が車輪から車体の下部から周囲一面を真赤に染めた。

さてこれは本来ならば、大した問題にもならず、通り一遍の刑事問題として扱われ、適当な人間が犯人と名乗り出て処刑されれば済む筈だった。だが本件に限り甚だ面倒な事情があった。殺されたのは、「松」こと椎名咲松という男であって、これは団員となっているが、実は其の筋の密偵をつとめていた人物だった。椎名咲松の殺されたことは公けに対しての挑戦と見られた。そこで事件は俄然複雑な雲行きとなって、其の筋では其処に立ち現れた偽のロボット犯人をオイソレと受取って処刑するのでは、一味への威厳上どうしても好ましからぬことであった。