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キドこうか
キド効果
海野 十三
「新青年」1933(昭和8)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,298 字 · 25 页
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それを発見した木戸博士の名声は、世界の学界を照す太陽の如く、赫々としてうち昇った。さもあるべきことで、一年前には、興奮曲線を一人一人の人間の身体について取ることに成功した博士が、短日月の間に更に興奮曲線の分解に成功し、異常興奮曲線を摘出したばかりか、人間に遍く異常性素質の潜在していることを指摘し、これをキド現象と名付けたのだから、誰しも駭くのも無理はなかった。今や博士の心理物理学とでもいうべき学問は、世界開発の将来の鍵を握るものだとして、遽かに学界の注目の標的となった。
ところが突然、全く突然に、キド現象の発見者木戸博士が失踪せられた。
『木戸博士の行方不明に世界学界は大恐慌!』
『ドクター・キドは失踪後五日を経るも、何等消息発見されず!』
『木戸博士は何者の手に誘拐されたか。キド現象と興奮曲線にまつわる因縁!』
『懸賞金一百万円。木戸博士を無事に自邸へ返したものに送る!』
などと、新聞やラジオは博士の失踪のことで持切りだった。
だがどうしたものか、博士の消息は杳として聞えなかった。
そして或る日、警視庁の捜査課長が、博士の研究室に、留守居の丘助手を訪ねた。