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ケーテ・コルヴィッツのがぎょう
ケーテ・コルヴィッツの画業
宮本 百合子
「アトリエ」1941(昭和16)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,607 字 · 22 页
これらの人々の生活は、小さい時分からケーテの身近なものであったと同時に、その虚飾のない生活にあらわれる刻々の生活の姿は、ケーテの創作慾が誘われずにはいない力をもっていた。ケーテは後年、次のようにいっている。「港に働く婦人たちは、社交上の因習のためにあらゆる言動を狭ばめられている上流の貴婦人たちよりも、その姿、その本質をより多く私に示してくれました。彼女たちは、その手を、その脚を、その髪を見せてくれます。着物をとおして肉体をみせてくれます。そして感情の表現も遙かに率直です」と。
兄の友人であったドクトル・カール・コルヴィッツとケーテが結婚したのは一八九一年であった。良人とともにベルリンに移ったケーテは、それからはずっと労働者街のあるノルデンに住むようになった。カール・コルヴィッツというドクトルはつつましい生活をする勤労者のためにノルデンにあった月賦診療所に働くことを、科学者としての使命と考えていた人で、真に労働者の医者であろうとした人であった。
父シュミットは、ケーテの幼い時からその才能を認め、画家として成長するためにはすべての助力を惜しまずに来た。