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ゴールデン・バットじけん
ゴールデン・バット事件
海野 十三
「新青年」1933(昭和8)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,946 字 · 46 页
……午前零時三十五分でしたがネ」
「ほほう、そうですか。これが金という男ですか。やあ、これはひどい」
「現場はすべて事件直後のとおりにしてありますから」
「いや有難う」
係官たちは、現場がすこしも荒されずに保存されたことについて、帆村に感謝したのだった。帆村は私を促して、別室へ移った。これは係官の調べを済ます間、邪魔をしないためだった。
同じような部屋割りの隣室だった、椅子もないので、私達はベッドの上に腰を下した。ここに暫くの時間があるが、この間に帆村とうまく連絡を取っておかねばならない。
「どうだ、犯人は何か喋ったかい」
と、帆村がホープに火を点けるのを待って尋ねてみた。
「いや君、あの男はまだ犯人とは決っていないよ」
「だってあの男は、事件の室から出て来たのだろう。そして薄刃の短刀をもって君に切り懸ったのじゃないか」
「うん、だがあの短刀にはまだ一滴の血もついていないのだ」
「すると、あの袋入の砲丸でやっつけたのだろう。あの大きな男にはやれそうな手段じゃないか」
「それもまだ解らない」
「君はあの男に、まだそれを訊いてみないのかい」
「うん、あの男とは其の後一と言も口を利いていないんだ」